©(コピーライト表示)の意味とは?

©(Copyrightコピーライト)表示の意味とは?

「©」(マルシー)という表示を見かけることがよくあります。
このマークは著作権表示というもので、copyrightの頭文字のcをマルで囲んだものです。それでは、作品にこのような記載が表示されていれば、著作権により保護されていることを示すのでしょうか。

結論からいうと、「©」は、必ずしもその作品が著作権によって保護されていることを示すものではありません。
では、なぜ「©」が使われているのでしょうか?

その起源は条約にあります。

著作権は国境を超えて利用されるため、条約を締結して世界的に保護し合っています。
著作権に関する主な条約として、「文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(以下、「ベルヌ条約」)」と「万国著作権条約」があります。

ベルヌ条約とは、1886年(明治19年)に制定された条約です。現在、168か国が加盟しており、日本は1899年(明治32年)に加盟しています。

方式主義と無方式主義

日本の著作権法では、「著作権の存続期間は、著作物の創作の時に始まる」「著作権人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行も要しない。」とされています。つまり、著作権は、著作物の創作と同時に発生するため、商標権のような登録手続きは不要です。これを「無方式主義」といいます。
ベルヌ条約では、「無方式主義」を採用しています。

これと反対に、著作権の享受に何らかの方式を必要とするのが「方式主義」です。
たとえば、かつてのアメリカ合衆国は、ベルヌ条約に加盟せず、「方式主義」を採用していました。

方式主義の国でも無方式主義の国の著作物が保護されるための制度

そこで、「方式主義」を採用する国においても、「無方式主義」を採用するベルヌ条約加盟国の著作権を保護するため、つまり、「無方式主義」と「方式主義」の齟齬を解消して国際的に著作権を保護するため、1952年(昭和27年)に「万国著作権条約」が制定されました。日本は、1956年(昭和31年)に加盟しています。

「©」というのは、「方式主義」を採用している万国著作権条約の締結国において、「無方式主義」の国の著作物が保護を受けるための条件として、複製物に「最初の発行時から」「著作者の名」「最初の発行年」とともに「©」表示することを要求する制度です。

もっとも、1989年(平成元年)、アメリカ合衆国もベルヌ条約に加盟し、「無方式主義」に転換しました。現在、「方式主義」を採用する国はごく少数です。

そのため、「©」を表示する必要性は乏しいのが実態です。
ただし、現在でも、著作権を主張する者が、自分が著作者であることを示すために「©」を用いています。しかし、法的に、その主張どおり、著作権が認められるとは限らないのです。